オタク兼コラ.ボカフェ店員の本音
流行りに乗って、よくわからないがブログに登録してみた。私は引退済みの元某2次元カフェの店員である。
特に人々が好みそうなネタは持ち合わせていないので、せっかくだから大手ジャンルを追ってる人なら一度はSNSなどで見たことがあるであろう「大量の食べ残し、飲み残し」について店員側の意見を、10000%私の主観で語ろうと思う。同業だろうと異論は認めない。私の主観だから。
SNSで拡散されてくる注意喚起の写真を見るたびにいつも思う。
「こんなん普通やぞ???????」
わざわざ拡散し、しまいには「明らかに残しているのに追加注文を受ける店員も悪い」と何故か店が叩かれる。なぜだ。オーダーを止めるとその拡散希望と同じように、消費者から有る事無い事を添えて、店員の態度が云々を付け加えられて「まだ食べられるのに注文を取ってくれなかった」「わざわざ遠征してきたのに悲しい思いをした」などと拡散されてしまうのだ。
取引などで、よくお前それ必要か?レベルの注意喚起が回ってくるのでわかると思うが、オタクは気にくわないことがあるとすぐに注意喚起を出す。
それに、店である以上はラストオーダーまでは注文を受けなければいけないのだ。
もし、ア○カフェなどの大手が注文を受けない取り組みを始めたらもしかしたら全体に広まるかもしれないが、それはそれで売り上げに関わってしまうのでそう簡単な話ではい。
コラボカフェは慈善事業ではない。ビジネスだ。
いろんなカフェが閉店していくので察して欲しいが、大きなタイトルが取れなければ潰れるし、大きなタイトルでも一人一品しか頼まなければ潰れる。会社としては、客の暴飲暴食を止めることはできないし、スタッフにももちろんそんな権利はない。
ていうか、ノベルティがこれだけ欲しいからっていうのは消費者の勝手な思考なのだ。
なので、ノベルティを人質にするなんて!頼むしかないじゃない!と怒るのがまず見当違いだ。大量に頼んで、全部完食したからえらいとは言えないし、中には無理に詰め込んで吐く人がいる。後片付けはどっちが大変かはわかるだろう。
特に時間制で回っているコラボの時は、店内に染み付いた吐瀉物の臭いを次の時間までに完全に消さないといけない。
普通の店で自分が頼む量を思い出して欲しい。
ランチに入った飲食店。
メイン料理にサラダやドリンク1杯のランチセット。それだけでお腹いっぱいになるだろう。ならない??それは知らない。私はなるったらなる。
大量に頼んで完食した。大量に頼んでほとんど残した。完食したけど、戻した。
そりゃ完食してもらえたら作った甲斐があるが、正直いつ吐くか気が気じゃないからどっちにせよやめてほしい。
ファーストオーダーでフードとデザート同時に頼む人もちょっと落ち着いて欲しい。
追加オーダーができる店ならば、一回フードとドリンクだけで思い止まってくれ。
他の人が頼んだデザートを先に見て、そのサイズで食べられるかちゃんと判断して欲しい。なんたってコラボメニューは高いのだ。意外とボリュームもある。お金は大事にしよう。
また、胃は、気持ち悪い感覚があろうがなかろうが、極限まで詰めると逆流する。とくに氷がたっぷりのキンキンのドリンクなんて胃がびっくりする。私が胃だったら絶対びっくりする。ちょっとびっくりして飛び跳ねただけで限界まで詰め込まれた飲食物は入り口を全力で逆走してしまうのだ。その量ったらたまったもんじゃない。
ミリ単位のずれを指摘したらしたでただのクレーマーなのでそこは思い留まって欲しい。
そして、大量に頼む前に、ぜひノベルティの山をどうするのか冷静に考えて頂きたい。祭壇の壁が埋まらないならタペストリーやらユザ○ヤでお洒落な布やらを買って掛けて、リ○ェのオタクの祭壇みたいにアルミと装飾だけで可愛くて豪奢な祭壇を作ってほしい。同じ顔の紙で張り巡らされた壁よりは私はそういうオシャレだけどっよぃ祭壇が大好きだ。ぜひ私のためにそうして欲しい。ちなみに私も一度は弱小ジャンルでグッズのTOやってた時代があった。信じるか信じないかは任せる。オタクが落とした金で給料を貰い、推しに貢いでいるときに「オタクって経済回してるんだな」としみじみ感じたものだ。
だから、グッズ厨の苦労はわかった上で言っているつもりである。
たのむから冷静になってください。後生だから。
…とまあ、大量に頼んで残す人、完食する人を同列くらいに語ってしまったが、新人の時は、半分以上残される食事に内心涙したりした。もう残されることに慣れてしまったんだと思う。そして、吐くくらいなら残してくれ、と思うようになった。残す人を叩く文化に怒りを覚えるようになってしまった。
新人の頃、初めてキッチンに入らせてもらって、初めて作ったフード。カレーだった。自分が作ったものが、大好きなアニメの作品の一部としてSNSに載っかるのは責任重大だけれど嬉しいものだ。
でも、洗い物しに入ったら、そのカレーは返却台に半分以上残った状態で返ってきた。その回で、カレーが出たのは一つのテーブルだけだった。エゴサーチをしたら、私がカレーを担当した回の時間帯に、「○○くんのカレー!美味しかった!」とツイートされていた。写真に映っていた卓番は、間違いなく私が作った伝票のテーブルと同じ番号だった。
私はその返ってきたカレーを、流しに捨てて、お皿は次の回に使うために綺麗に洗った。
捨てられた生クリームたちと混ざり合って、水を吸い込んでぐしゃぐしゃになっていくカレーが横目に見えたが、私は洗い物を続けた。
私は最初の頃は、とにかく生クリームを絞るのが下手くそで、練習で何本も無駄にした。
3ヶ月くらい経って、やっとうまく巻けるようになって、ドリンクに入らせてもらえるようになった。その日は人が足りなくて、ホールとドリンクの作成場所を往復しながら店を回していた。
その日、一番グラデーションも綺麗に出て、生クリームも綺麗に巻けて、1番の自信作のドリンクができた。ちょっとルンルンで提供しに行った。
お客さんに「かわいい」と喜んでもらえた。嬉しかった。
でも、オーダーが落ち着いて、キッチンを完全に離れてホールを回っていると、例のドリンクを出したテーブルに呼び止められた。
少しも減っていないそれを、「もう下げてくれ」と、具合悪そうに言われた。テーブルの上には、沢山の飲みかけのグラスがあった。
私は笑顔で下げた。飲みすぎで冷えて具合が悪そうだったので、白湯も出した。
私のはじめての自信作は、私がそのまま流しに捨てた。
そんな思いを毎日した。毎日当たり前に残されて、毎日当たり前に捨てて、そんなことを繰り返していたら、たまに偽善者が呟く「拡散希望 食べ残し飲み残し反対」のツイートが癪に触るようになった。
食べ残しや飲み残しは別に珍しいことではない。
人気作品なら、一つの回に1テーブルは、程度に差はあれど半分以上を残す客がいる。
さぞかし呟いた本人は飲食店で一度も一口も残したことがなくて、拡散して口々に罵っている方々はさぞかし綺麗に飲んで、食べて、テーブルにノベルティを入れた後の袋のごみも残さず、店員一人一人に感謝を伝えて帰る、聖人のようなお客様なのだろう。
そんな人で店が溢れればいいのに。
私は店に2年近く勤めた。最初は、私もノベルティを沢山集めてたし、とにかくトレーディングに必死になるグッズ厨タイプのアニオタだった。なんたって小学生から深夜アニメに没頭したような筋金入りのオタクだった。
働きたいと思ったのも自分がオタクだったからだ。
働き始めて半年で、グッズ厨でいられなくなった。一年で、生まれて初めて好きだった作品も含めてアニメに興味がなくなった。2Dで動く絵の何が面白いんだろう。こういうのが好きな人たちが、ああやって私に料理を捨てさせたのだと思うようになった。私は米粒一粒でも大事に食べるようにって育てられたから。
毎月入れ替わるメニュー、客層、今回はどんなメニューで、どんなヤバい客が来るかだけを楽しみに、ぼーっと働いていた。飽き性の私にしてはこのバイトが続いたのは、とにかく面白いくらいに客層がコロコロ変わるからだ。
今回、店長が新しくなった。優しかった人から、圧力ヤバめのもろもろのハラスメント店長に変わった。
もうアニオタの中にいられない。店にもいられない。
私は、アニメの店で働くアニオタな自分を、アニメの街に捨てて、パンピの街に行くことにした。
完全に外野に行った私が言いたいことはただ一つ。
「飲み食いできる量だけ頼んでくれ」
以上。
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最後に、どうしても紹介したいヤバい客がいるからちょっと聞いてほしい。
ぬいが出てるジャンルのオタクはだいたいやばい行動に出るが、これはトップオブヤバかった人物の話だ。
見た目の年齢は40代後半くらい。私のママでもギリギリ通るくらいの年齢のおばさんが、大事そうにおくるみを抱えていた。
中から覗いたのはぬい。ぬいをおくるみに包んで、時折揺らしたりして、抱えていた。その時点でだいぶやばかった。多分自分には子供がいないんだろうと勝手に思った。
正面に座ってるフォロワーらしき若い女性の同行者が平然としているのがさらに怖かった。私だったらドン引きして顔にでてしまう。私はとっても素直なのだ。嘘もつけないピュアピュアなハートをもっている。
初めてのタイプに、こいつは絶対やべえと思って見過ぎないように横目で頑張ってチラチラしたが、事件は、私が提供しにそのテーブルに行った時に起こった。
鉄壁の理性で、接客スマイルで
「お待たせいたしました」
とドリンクを置いたら、突然おくるみぬいに顔を埋めて、勢いよく息を吸い込んで、
「ンンンンアァアアッスウッハァアアアアアア!!○○タンカワイイデシュネェエエエエ!!オリョウリキマチタヨォオオオオ!!!!ヨチヨチヨチヨチ!!イイニオイ!ミルクノニオイ!バブタンデシュネェエエ」
と叫んだ。私は噎せそうになったのを堪えた。そのあとキッチンに引っ込んで流しの前でしばらく咳き込んだ。同行者は相変わらず平然としていた。
オタク怖いよぉ。本当にあった怖い話。